星を止める 星空のいざない 
   
   天体の光は儚いほど弱く写真撮影では長く露光してはじめて姿を現します。


   天体は常に動いているので長時間露光では星が光の線を描きます。これは地球の自転が星の動きとして現れるもので日本を含む北半球では
   こぐま座の尾にある北極星付近の一点を中心に反時計方向に円を描いて動きます。これを日周運動といい円の中心が天の北極です。


   天体を撮影するには天文の基礎を覚えておくと役立ちます。天文の基礎を参照
 
   
  日周運動  

日周運動を打ち消して星を静止させる事を天体の追尾と呼び赤道儀と呼ばれる望遠鏡を載せる台が必要になります。最近はコンピュータを搭載し望遠鏡を指定の星に向けて追尾する架台が普及しています。このような機械の働きで望遠鏡を星へ向ける事を自動導入といいます。


機材取得を検討中の方には自動導入で搭載重量10〜20Kgクラスの赤道儀がお勧め。安くありませんがしっかりした造りなので適切に扱えば一生使い続ける事も可能です。ガイド鏡を同架すると機材重量は10Kgを超えがちなので搭載可能重量には余裕が必要です。将来、高性能な(重たい)光学系へ移行する時も安心。また自重は20Kg未満なので空の条件が良い場所への遠征も可能です。


良い働きの赤道儀ですが設置にはキーポイントがあります。赤道儀の設置を参照

 − 三脚をしっかりと設置し正確に水平を出す
 − 搭載機材のバランスどり
 − 赤道儀の極軸出し   

   
   
  ガイド鏡を同架した赤道儀セットアップ

赤道儀も人の手による製造物で工作精度の誤差があり僅かに動作が揺らぎます。これをピリオディック・モーションといい星像のブレの原因のひとつです。

星の揺らぎを打ち消し正確に追尾する事をガイドといいます。

人が接眼レンズ越しに特定の星(ガイド星)の動きを目視して赤道儀を手で操作してガイドするのが手動ガイドです。繊細かつ困難な作業です。

コンピュータでガイドするのがオートガイドです。小さな望遠鏡に CCDカメラ等を取り付けたものをガイド鏡と言い、主鏡と共に赤道儀に載せて星をガイドします。ガイドソフトが動作するPCで星の動きを監視して赤道儀を制御することで追尾精度を高めます。

ガイドするソフトをオートガイダー、ガイドによる撮影をガイド撮影といいます。 



オートガイダーの働き


下の図はガイド中のオートガイダー。

星が「ガイド星のプロット」の円内から出そうになるとオートガイダーは赤道儀へ星と同じ方向に動くよう指示を出し星を円内に引き戻します。動きの監視は一秒間に何度も行われカメラは撮影対象を捉え続けます。

オートガイダーの起動時にはキャリブレートが行なわれます。キャリブレートでは実際にガイド星をキャプチャーしガイド指示毎の星の移動量を実測して最適なガイド量を学習し記憶します。 

 
ガイド鏡
   
   

ガイドの積極性 (agressiveness)の設定は重要で、値の追い込みがガイド成否を左右します。値が小さ過ぎればガイドが星の流れに追いつきません。反対に大き過ぎると星が過剰に動き、ガイドで揺れが増幅し振動が継続します。この状態をハンチングといいます。

赤道儀の機械工作精度・設置精度が高ければ星の逸脱は小さくなり積極性の値は小さくて済みます。

セットアップと設置が良好な場合、GUIDEMASTERでは、
DE(赤緯) 6 / RA(赤経) 8 で良好なガイドが期待できます。

重量バランスにより赤道儀の姿勢変化で挙動が変わる事があります。撮影対象を変えた時は姿勢が変化するのでガイド星のプロットを見ながら積極性を調整します



星像の流れには幾つかの原因があります。

 ・ピリオディック・モーションのゆっくりした揺らぎ
 ・赤道儀の設置精度不足による非常に緩慢な動き
 ・大気の揺らぎによる非常に速い星の揺らぎ

原因を明らかにして対策を講じる必要があります。
 

   

機械的要因の緩慢な動きはガイドで打ち消す事が可能ですが大気の揺らぎはガイドでは解決できません。シーイングの良い日を選んで観測するのが現実的です。補償光学装置 (adaptive optics)のような高速な補正が有効ですが全体として非常に高価な仕掛けです。

赤道儀/搭載重量/オートガイダーの仕様により、撮影システムには個性があります。ガイド時の挙動は千差万別なのでトライ・アンド・エラーによる追い込みが必要。所有機材の理解は見ごたえのある写真につながります。
 

ポータブル赤道儀

 

 ポータブル赤道儀 SkyTracker  

最近人気なのがポータブル赤道儀です。大きな赤道儀は重たくて移動が大変で価格も決して気軽にとはいきません。目的が焦点距離 200mmくらいまでの撮影ならこれで十分です。

キャンプや登山で星のある風景を残すことも楽しみの一つ。また彗星撮影では威力を発揮してくれるでしょう。


右の写真は米国で購入した iOptron社のSkyTracker。アルミ合金製で堅牢。極軸望遠鏡、マウントベースが標準でついています。




国内ではレポートが少ない製品なので簡単にご紹介。


荒っぽい極軸設定後 105mmマクロで 2分露光。星はほぼ点のまま。背景画像がそのイメージです。極軸を決めれば 105mmで4〜5分の露光、30mm以下なら10分の露光が実用レベル。

単三電池4本で20時間駆動。搭載可能重量は 3Kg。

本体背面には南北半球切替、恒星時/0.5倍速の切替、それに電源スイッチ設けられています。極軸望遠鏡にはこのクラスで珍しく暗視野照明付き。

高度調整機能は優れておりスムースに動き確実にロックできる。

内部を見れば本体高の8割ほどの径の大型ウォームホイルがベアリングで支持されている。


概して質実な造りです。

 
 

ストーンバッグで三脚を安定

 

ポータブル赤道儀ではカメラ三脚を使います。

ポータブル赤道儀本体 2Kg、カメラとレンズで 1.5Kg。脚部が軽量なのでトップヘビーな構成。

基礎となる脚部を少々「しっかり」させたいですね。

ストーンバッグの名前で三脚を安定させるものが売られています。三脚に錘を吊り下げることで安定させる仕掛けです。


自作してみます。

麻袋をひし形にカット。これを折りたたんで正三角形に。

頂点を 3cmほど折り返し破れないよう厚みを持たせてビスとナットそれにワッシャーを噛ませて針金で作ったフックを固定。

三脚側のフックの受けには、針金で環を造りひも状のマジックテープを脚に二重に巻き付け固定。

バッグ側のフックを三脚に固定した輪にフックすれば出来上がり。見てくれは今一つですが強靭です。

ストーンバッグにレンガを二つも載せればびしっと安定、シャッターに触れたくらいでは全く動揺しません。

買い物用エコバッグを吊っても同様の効果が得られそうです。ブラブラ揺れないよう工夫すればOK。


注意点

脚は思い切り外側に広げます。開き切って接地している脚を錘が内側に引っ張る事で安定が生まれます。