撮影機材 星空のいざない 
   
   対象天体に応じた光学系が必要でカメラも通常と若干異なる特性が求められます。

 

撮影対象が適度な大きさに見えるよう見掛けの大きさに合う焦点距離のレンズや鏡筒(望遠鏡)を選びます。

 大まかな目安

   ・広角・標準レンズ    10mm〜 55mm  星景・星野
   ・中望遠レンズ      60mm〜150mm  星景・星野・大きな星雲
   ・望遠レンズ      160mm〜    大きな星雲・星団
   ・天体望遠鏡(短焦点) 300mm〜800mm  星雲・星団・銀河、月、太陽
   ・天体望遠鏡(長焦点) 800mm〜    星雲・星団・銀河、月、太陽、惑星


 光学系の役割は光を集めることです。大口径の光学系を使えば露光時間が短くて済みます。このようなことから明るいレンズのことを
  英語では faster lens(速いレンズ)といいます。表現に文化の違いを感じます。その方法の違いで二つに大別されます。


   ・反射望遠鏡      口径100mm〜  凹面鏡で光を集めます。大口径の割に安いので集光能力と分解能が高いのを活し強拡大
                      向き。反射式の中には光路を横に出すもの、副鏡で後ろに導くものなどバリエーション
                      が豊富。鏡筒内の空気が外気温度と異なるときは空気の対流で像が揺らぎます。

 
   ・屈折望遠鏡      口径 50mm〜  対物レンズで集光。レンズを複数合わせたりEDレンズ、蛍石のような材質で収差を抑え
                      るものがあり口径の割に高価です。一般的に反射式より重量がありますが反射式のよう
                      に温度環境に影響されません。設置後すぐに撮影が可能で取り扱いが容易です。  

   

天体撮影のためのカメラ
 

デジタル一眼レフ、CCDカメラや専用の冷却CCDカメラを使います。
 

・デジタル一眼レフ

ローパスフルター除去前

高精細なデジタル一眼レフはコスト性能比で優れています。しかし考慮すべき特性もあります。

受光素子に取り付けられたローパスフィルターは可視光以外をブロックします。通常撮影で好都合ですが星雲の撮影には不向きです。水素分子由来の Hα線(波長 656nm)の7割がブロックされ散光星雲などの赤い光の多くは写りません。オリオン大星雲も物足りない画像になります。


右の例は輝度の違いがかなり大きいもののフィルター除去前後の発色傾向を表しています。


ローパスフィルター除去・交換サービスがあります。
改造後は赤に偏った色バランスとなり通常撮影には向きません。また光路長が変わるとオートフォーカスが使えなくなります。カメラメーカーの保証も無効になるので割り切りが必要です。

  Canonからは過去にHα線を多めに通す天体用 EOS 40Da/60Daが供給されていました

腕に自信があれば自分で改造するのもいいでしょう。フィルターの除去だけならお金は掛りません。次のサイトに写真付きで丁寧な手順の説明(英語)があります。

  ローパスフルター除去後

   ※ 改造責任はそれを行う各個人にあります

   http://www.lifepixel.com/tutorials/infrared-diy-tutorials

赤外写真カメラの DIY改造でフィルターを置換するのがその内容。置き換えなら代わりのフィルターを用意しておくのがよいでしょう。フィルターを外すと非常に赤に偏った写真になります。私はこれを軽減するのにレンズマウントに IDAS FFフィルター HEUIBを着けています。次のサイトでは各種フィルターの写りの違いが紹介されています。

   http://homepage2.nifty.com/galaxystar/filter.htm


高感度・長時間露光では画像にノイズが載ります。同じ構図の画像複数を重ね合わせるとノイズが中和され滑らかになります。ISO-1600以上なら8枚ほど重ね合わせます。できれば30枚くらい撮って明るさを大きく強調してから重ねると見えなかった光が滑らかに浮かび上がります。
 

 

・CCDカメラ

 

面積の小さい高感度受光素子を使い惑星や月を撮影するためのカメラです。
受光素子が小さければ画像全体に占める撮影対象は大きくなるので拡大撮影に向いています。月の特定地形や木星、土星を拡大するのに好都合です。

元々、産業用の CCDカメラで低ノイズの個体を選別し天体用として供給されているようで、価格は概ね普及価格帯の一眼レフボディと同等です。


使い方は、動画で撮影し多数のフレームから状態の良いものを選び出し数百枚重ね合わせてコントラストの高い画像に仕上げます。このような画像処理をするフリーソフトで有名なものがいくつかあります。手でやれば大変な作業ですが、パラメータを設定することで殆ど自動で作業を肩代わりしてくれる優れものです。
 

PCでチャットなどに使うwebcamで代用することもあります。webcamの対物レンズを外し望遠鏡の接眼部に固定するための31.7mmスリーブをどうにかして装着すればお手軽惑星カメラの出来上がり。使っている素子やドライバーソフトの仕様により写りは変わります。

'webcam 改造 modification'で検索するといろいろ教えてくれるサイトが見つかります。

※ 改造責任はそれを行う各個人にあります

・天体専用の冷却CCDカメラ

 

高感度 CCD受光素子を冷却しノイズを抑える天体撮影専用カメラです。

鋭敏な感度の選ばれた CCD受光素子をペルチェ素子を使って対外気温マイナス30〜40°迄冷却し露光します。白黒とカラーの製品があります。白黒カメラではカラーフィルターを使って擬似的に RGB合成で色を出しますが有効画素数がカラーの四倍に上るためきわめて良好な諧調が得られます。この撮影方法が現在手に入る最良のものです。

淡い星雲もスムースに解像。 CCDを二つ備え主鏡だけで撮影とガイドができる製品もあり、補償光学装置 (Adaptive Optics)オプションを使えば天文台レベルの撮影システムの完成です。

理想的なカメラですが問題があるとすれば価格。上位機種は乗用車並みの価格です。