天体撮影 星空のいざない 
   

天体写真では画像処理が占める役割は思いの外大きいものですが元となる写真の質が全てを左右します。光害が無く晴れ渡った空で星を正確に追尾して長く露光すると質の良い画像が得られます。


良い写真素材を得るための共通要素があります。


 ・本当に暗いところでカメラの感度を下げてたっぷり露光。これが理想。

 ・星雲・銀河は月の明り無い時に。天体の光は月明りに埋もれてしまいます。

 ・対象の方角に街が無い場所で撮影。街の光は薄い雲を照らすので天体の光は埋もれてしまいます。

 ・対象が高高度の時に撮影。天頂に近いほど大気の影響が少なく良好な露光になります。

 ・標高の高い場所で撮影。眼下に雲が見える場所は霧や雲の影響を受けません。

 ・同一フレーミングで数多く撮影。重ね合わせてノイズ抑制に使います。




天体写真には分類があります。誰が決めたか定かでないものの天体雑誌の写真ギャラリーでは愛好家の写真もそのような分類毎に掲載されています。実際に撮影方法や使用機材は其々で異なります。
 

   星景 - Starry Nightscape  

地上風景と星空を1コマに入れるのが星景写真で見慣れた地上の様子を利用する情感の豊かさが魅力です。例えば、月明かりで照らし出された地上景色と星空のコントラストは幻想的です。

山や森林、光跡を残す乗り物の光、橋などの構造物、遠くに浮かぶ街の光さえ作品の要素になります。

通常の風景写真と同じくフレーミングは大事な要素です。

星の光跡を英語で 'star trails'といいます。山並や木立のシルエットを構図に入れれば印象的な絵になります。


最新のカメラではISO-6400以上の感度が使えるようで、今迄出来なかった地上風景と光跡の無い星空が撮影可能になっています。

星景写真には三脚が必要です。しっかりしたものは一生使うことができるので中級以上のものを選ぶとよいでしょう。

魚眼レンズや広角レンズが適しています。


露光の目安

 星の軌跡を撮る場合

  絞りは解放から 2段ほど絞る。
  ISO-400以下で 30秒の露光を数10分にわたり繰り返し撮影。

 静止した星を撮る場合

  超広角レンズで絞りを開放。
  ISO-6400以上で30秒ほど露光。

 

夏 - 月明かりの中こと座付近(15mm diagonal fisheye)

   
   星野 - Wide Field  

広範囲の空を写します。天の川や星座、大きめの星雲が対象。

うっすらした雲のように見える天の川は標準レンズでたっぷり露光すると夥しい数の星が見えます。赤い散光星雲や暗黒の分子雲の存在すらよく解ります。

魚眼・超広角レンズ 〜300mm程度までの望遠鏡が適しており撮影に赤道儀が必要です。 200mmを超える焦点距離で 5分超の露光であればガイド撮影をお勧めします。

南国で撮影の機会があればさそり座のアンタレス付近を撮ってみましょう。全天いちカラフルな領域です。空が暗く対象が高高度の時に20分ほどシャッターを開ければ鮮やかな宇宙の彩が見えるはずです。

海外の愛好家がこのポイントを 2年掛かりで何と60時間露光した作品があります。一見の価値があります。

flickrのアドレス
http://www.flickr.com/photos/28192200@N02/7483174334/in/faves-13694560@N04/


この分野でも高感度撮影は有効です。広角レンズで絞り解放で30秒程度露光。ノイズ処理には少々苦労するかもしれません。


ノイズ低減にはモザイク撮影も有効です。撮影対象を2〜4コマに分割して撮影。得られた画像をパノラマのように縫い合わせば1コマの画像に比べとても滑らかになります。

画像処理で境目の明るさ・色合いの調整がキーポイントです。


露光の目安
ISO-200〜400で 8分 x 4枚を重ね合わせ

モザイクの場合
ISO-800で 4分 x 2枚 を重ね合わせ。このように処理したフレームを複数縫い合わせて一つの画像にする。ノイズが目立たず驚くほど精細なイメージが得られます。

天の川 - 白鳥座付近(28mm)

 
   星雲・星団 - Nebulas & Star Clusters  


干潟星雲(M8) 左、三裂星雲(M20) 500mm

対象が豊富で色鮮やかで多様な天体が魅力です。焦点距離も程ほどで望遠カメラレンズ〜天体望遠鏡が活躍する舞台です。

星団は星の集団で多くは球状に集まったものです。もし中心に居れば夜空はどのように見えるでしょう。

星雲は超新星残骸や周囲の星間ガスが放射線にあぶり出されたものや分子雲のシルエット等様々です。

星間ガスは固有色を持っています。

 酸素 緑 ヘリウム 青 水素 赤

300mm超の焦点距離で撮るものが多
く追尾もシビアになってきます。

赤道儀が必須でオートガイドを使うのがいいでしょう。対象が淡い事に加え、長焦点になれば暗くなるため画像処理の重要性も高まります。

露光の目安

 ISO800〜1600で 5〜20分 x 8枚
 総露40〜160分

 


ペルセウス座 二重星団(500mm)
 
   銀河 - Galaxies  
 

銀河は巨大な星の集団です。渦状、球状、形は様々で大きさは10万光年単位と途方もなく 100億光年以上先にあるものは遠い昔の姿を眺めていることになります。近いものは大小のマゼラン雲。距離は13万光年で南半球で見える天体です。

アンドロメダはお隣の大型銀河で距離は 230万光年。この距離にして満月六つ分の幅があり途方もない大きさです。いずれは銀河系と衝突し合体するといわれています。 見かけが大きいので 300mmの望遠レンズでよく解像します。

光は淡く露光は長時間、見掛けも小さいので長焦点の鏡筒が必要です。

オートガイドが必須。設定もシビアで一回の補正で動く量は小さくします。赤道儀の設置精度は 0.1度単位で入念な鏡筒バランスも必要でしょう。オートガイダーの積極性は小さくします。

長焦点では風は頭の痛い問題で大きく軽い反射鏡筒は簡単に揺れて視野は大きくブレます。風が吹き始めたら撤収するのが無難でしょう。


露光の目安

 ISO-800〜1600で 6〜15分 x 8枚 総露光48〜120分


さんかく座の銀河 - M33(1278mm crop)

 

りょうけん座の子持ち銀河 - M51(1278mm crop)

アンドロメダ座の銀河 - M31(500mm crop)